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例えば、あなたが土地を買ったとします。売主と売買契約書を厳格に交わし、土地代金を払い領収書をもらい、土地の引渡しをチャンと受ければ、なんら問題ないはずです。
しかし、一般に土地代金は高いですね。
現金で払う方はなかなか少ないのではないでしょうか。
現金でなければ借金しなければいけません。
一般に大金を貸してくれる金融機関は 返済の見込みがないと貸しません。
見込みがあっても、万が一に備え、借主に担保を要求します。
その一般的なものは抵当です。抵当は、返済しないと抵当物を競売に附し代金から返済してもらうものです。
この場合に抵当にとったと言っても、抵当権設定契約書を作成しただけでは、あなたが、買った土地を第三者へ売ってしまったら、どうでしょう。
あなたがそのまま借金を返済しなかったら金融機関は抵当にとっていると言ってその土地を買った第三者の所有する土地を競売にかけるとしたら、事情を知らない第三者であったら怒りますね。
喧嘩になります。殺し合いになるかも知れませんね。
当然裁判になります。裁判所はどちらを勝たせればいいのでしょうか?
先に抵当に取った金融機関を勝たせるのでしょうか?
それとも知らないでその土地を買った第三者を勝たせるのでしょうか?
先に抵当に取ったことの証明はどのようにするのでしょうか?
契約書の日付は変えることができますし、変えなくてもそれが正しい日付だとどのように証明するのでしょうか?
買主は金融機関の抵当のあることを知らなかったことをどのように証明するのでしょうか?
それらの証明と裁判には大変な労力と日数を要します。
その結果が出るまで、以後なにもできません
。
こんなことがいたるところで起こったら、経済は全く麻痺してしまいます。
そこで、あなたが何処そこのどれだけのどのような土地を何時誰から買いました。
それを買うのにいくら金融機関から借り、その抵当にその買った土地を何時入れました。
また第三者へあなたは何時この土地を売りましたと。登記しておいて誰にでも分かるようにしておくのです。
そして早く登記した者が優先して権利を確保できるので、裁判になったらそれが尊重される制度とされているのです。
したがって正確に登記されることで、国民の誰もが安心して眠れるのです。
例えば、上の図をご覧ください。乙は、最初に
A,C,G,E の境界まで500uの土地をある人から購入したのです。
丙は C,D,H,G の境界までの400uの土地をある人から購入しました。そして、乙と丙はその後話し合いの後、両者の土地の境界を
B,F を結んだ線に決めました。
その場合、 B,C,G,F を結んだ範囲の土地はなんだったのでしょうか?
C,G
を結んだ線は境界線が誤っていたというのでしょうか?
乙は500u分の代金をある人に支払って購入しているのです。
もし C,G を結んだ線は境界線ではなくて、B,F を結んだ線が正しかったのだとすれば、乙はある人に対して100u分の代金は返還してもらわなければならなくなります。
丙は、400u分の代金しか支払っていないのに500uの土地を所有することになりますので、100u分はもとの売主へ追加で支払いますか?
これでは、混乱をもたらすことになりますね。
そうではなくて、 B,C,G,F を結んだ線は乙が丙に実は売ったのだとすれば、C,G を結んだ当初の境界線は正しいことになります。
B,F を結んだ線は、新たな境界線になるべき線ではありますが、当初の C,G の境界線は依然として残ることになります。
この場合、乙と丙が話し合って自由に C,G の境界線を動かすことを認めれば、売買はなかったことにしなければならないことになります。これでは不合理ですね。
ですから、元の境界線は、勝手に動かせないことにしなければ収拾がつかなくなってしまうのです。
この元の境界線は「筆界」と呼ばれ国家が決めるものとされているのです。
この、元の境界線は登記されて「筆界」と呼ばれるのですが、これを前提にしてあらたに土地の所有者が分割の申請をした場合は、さらに新しい「筆界」が国家によって作られることになります。
このように、「筆界」を基準に登記申請、あるいは登記嘱託していくことによって、混乱を回避しようと決められているのです。
したがって、隣地所有者間でこの「筆界」を無視して境界線を決めてそのまま登記申請することは認められないのです。
先に説明したように、隣地所有者間でこの「筆界」を無視して境界線を決めてそのまま登記申請することは認められないのです。
しかし、この「筆界」がいったいどこなのかを判定することは、往々にして困難を伴うものなのです。
境界標が明確にあればよいのですが、これがない場合も多く、境界標があっても、果たしてこれが正しい筆界に一致しているのかどうか、これを認定するのには、測量技術に加えて、法律知識、慣習知識、登記実務についての知識、などを総合して、実地に境界確定の実務経験を必要とします。
その技能、能力を有すると国家が認めて資格を与えたのが「土地家屋調査士」なのです。
土地家屋調査士でない「測量士」は公共測量技術はありますが、「筆界」の判定に必要なその他の知識経験を有する資格者として国家が認めた者ではないので、登記手続に関与することはできないのです。
また、法務局の職員も、「筆界」を決定する立場にありますが、申請、嘱託される大量の事件について、すべて現地において調査、測量、境界協議などを行うことは、物理的に不可能なことです。
したがって、表示登記手続には、法務省が資格を付与し監督する表示登記の専門家である「土地家屋調査士」が「筆界」を正確に認定して作成した「地積測量図」の添付が必要と法律でさだめられたのです。
正確な筆界の判定を確保して登記嘱託がなされるなければ、先にお話したように、大きな混乱の元となり、経済取引の停滞を招き、ひいては国民の財産権を十分に確保できない自体になるのですから、法務省が資格を与え独占的に表示登記に専門家として関与することを認めた「土地家屋調査士」が公協嘱託登記においても関与するべきであったのです。
しかし、土地家屋調査士は、それぞれ小規模な自営業者として活動しております。
その大部分は、一般民間申請の登記申請業務に関わっておりました。
個々の調査士単独では、官公庁が取り扱う規模の嘱託登記関係の業務に対応して十分な成果を納期を守って提出できない状況にありました。
また、個々の調査士は個人業者がほとんどで、何時、個人の事由で、業務をまっとうすることができなくなるか知れません。
このような不安定な受託先に委託することは、官庁としても責任ある委託とは言えない訳です。
そこで、土地家屋調査士が責任ある受託をして公益に寄与するには、責任ある組織をもって対応する必要があるのです。
組織的に応じる体制を整えるには、各個々の調査士の営利目的ではなく、資格ある専門家による質の高い公嘱登記成果をもって公益に寄与するべく、土地家屋調査士法において「公益法人」として活動するように制定された
「公嘱協会」の設立がどうしても必要であったのです。
公嘱協会が委託を受けた業務は、それに属する「土地家屋調査士」が担当しますが、その担当の土地家屋調査士だけで遂行するのではありません。
常に、協会が質の高い成果を納めるために技術的、法律的、理念的、倫理的研修を所属の「土地家屋調査士」に対して行い、個々の成果について、検査体制を充実させ、品質管理を徹底させております。
また、万一、担当調査士に事故ある場合には、委託官庁にご迷惑をかけることなく、訓練された専門の土地家屋調査士にバックアップさせる体制を整えております。
さらに、成果についても、万一瑕疵があった場合は、協会が責任を負う体制も十分に整えております。
したがって、「公嘱協会」へ委託されますことは、資格のない業者への委託、あるいは、個人調査士へ直接委託される場合に較べ、市民、住民、県民に対して責任ある委託方法であると言えます。